評判のよくなかった芸能人が吹き替えした洋画について考えてみる。

評判のよくなかった芸能人が吹き替えした洋画について考えてみる。

映画の吹き替えは上手ければいい。

■芸能人の吹き替えで話題になった映画は業界にとって得か損か?

洋画やアニメ映画を芸能人に吹き替えさせるのは話題性が目的であり宣伝広告費の軽減につながると言われていますが、下手をすると既存のファンから反感を受けるだけではなく映画業界の衰退を招くと心配なのですが、実際はどうなのでしょう?

こんなことを言うと「嫌なら観るな」、「字幕で観ればいい」と怒られそうですが、コレクターを自負している僕でもあまりの吹き替え版の出来にがっかりしてBDやDVDの購入を見送ることがあります。まぁ、ある程度の範疇は許容してしまいますが。

しかし、映画好きであればこの吹替えと実写化の問題については一言いいたいテーマではないでしょうか?

そこで、今回は芸能人の吹替えをテーマに記事を書いてみようと思います。なお、声優の方が苦手だという方もいますし否定するものではありません。ここではテーマにして考えるだけなのですが、皆さんはどうお感じになるでしょう。

まず、芸能人が吹き替えした洋画から主役やメインといった薬の印象の強かった作品をみてみましょう。

・Life!(ベン・スティラー/岡村隆史)※映画専用チャンネルでは堀内賢雄へ変更。

・アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン(スカーレット・ヨハンソン/米倉涼子)

・TIME/タイム(アマンダ・サイフリッド/篠田麻里子)

・ワイルド・スピード MEGA MAX(エルサ・パタキー/武井咲)

・プロメテウス(ノオミ・ラパス/剛力彩芽)※映画専用チャンネルでは佐古真弓へ変更。

・ハンコック(ジェイソン・ベイトマン/眞木大輔 (EXILE))

・ザ・シンプソンズ MOVIE(所ジョージ、和田アキ子、田村淳、ベッキー)※アニメでも伝説の問題作

他にも人によっては「これは酷いと思った」と挙げる作品はあると思いますが、記憶に新しくネットで話題になった作品というとこんなところでしょうか?

そうそう、個人的にはビートルジュースの西川のりおのようにお笑い芸人が持ちネタ(ホーホケキョ等)を吹き替えに入れ込むのは苦手ですね。劇場版仮面ライダーカブトでも次長課長が「お前に食わせる~」のネタをやっていますが今になってはどんな顔して観たら良いのやら複雑です。どうしても映画の世界観から現実へ引き戻されてしまいます。

■おそらく興行収入に関係なく芸能人の吹き替えは続いていく

吹き替え映画の感想をみていると「上手ければいい」という意見を多く見られます。けれど本当にそれだけでしょうか?実は、昔から芸能人による吹替え(主に地上波放送)は多く行われていますが「これはこれで」と難色を示しつつも受け入れられてきていました。

有名なところでは、スターウォーズで主人公のルークを俳優の奥田英二や渡辺徹が、ハン・ソロをトーマスのナレーションでも知られる森本レオや松崎しげるが行っています。他にもバックトゥザフューチャーのマーティーとドクを織田裕二と三宅裕司の組み合わせで吹替えをしていますし、「タイタニック」では妻夫木聡と竹内結子も吹き替えに挑戦しています。ポイントは竹内結子が売れる前に吹き替えに抜擢されている点です。

まぁ、テレビでは視聴率が伸びますし一度きりのネタという点で受け入れられやすいのかも知れませんね。

実際に日本で好まれる映画の傾向は興行収入を見るとよく分かります。まずは2019年度11月までに出ている興行収入のランキングを見てみましょう。

[アメリカ]

935億円 アベンジャーズ/エンドゲーム
592億円 ライオン・キング
473億円 トイストーリー4
465億円 キャプテン・マーベル
425億円 スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム
387億円 アラジン
341億円 ジョーカー
230億円 IT イット THE END “それ”が見えたら、終わり。
190億円 アス
189億円 ワイルド・スピード/スーパーコンボ

実のところヨーロッパ、ロシア、中国のランキングデータを見ても順位に大きな差はありません。中国は自国の映画がこれらに入り込んでくるわけですが、好まれる映画の傾向には多くの共通点が見受けられます。簡単にまとめるのであれば海外では映画は映画なのです。では、日本はどうでしょうか?

[日本]

137億円 天気の子
122億円 アラジン
102億円 トイ・ストーリー4
*88億円 名探偵コナン・紺青の拳
*68億円 ライオンキング
*60億円 アベンジャーズ4エンドゲーム
*55億円 キングダム
*53億円 ワンピース STAMPEDE
*48億円 ドラえもん・のび太の月面探査記
*46億円 ジョーカー

日本での収益は予想できない、大作でも日本じゃ勝てないというのは本当みたいですね。日本は独特のランキング結果というか国内外のアニメ、漫画の実写化が興行収入の上位全てを占める他の国では見ない結果です。一概に決めつけることは出来ませんが、これは映画そのものとしての文化が弱いというよりも映画が漫画やドラマの延長線上に位置しているからだと考えられます。

また、作品の良し悪しよりも供給側は映画を芸能人のプロモーション目的にしてしまい映画鑑賞を楽しむ層を育てることを怠ってきた結果なのかも知れません。おそらく需要側の一定数を占める層も好きな小説や漫画のゲーム化、ドラマ化の延長線上のメディア展開として映画を位置付けて考えており、映画としての面白さよりも世界観を壊さない、どう再現するかの方が重要なチェック作業になってしまっているのでしょう。

まぁ、詳しくは漫画の実写化のテーマの時にでも考えるとして、自分のイメージに合っているか確かめに映画を見に来るのであれば芸能人か声優という時点で反感を買うのは目に見えて明らかです。

映画誌によると最近は目先の収益と宣伝広告費の軽減を狙った安易な芸能人の起用も減ってきているとも書かれていますが、あんまり減ったように感じないのは僕だけなんでしょうかね?

いやはや。

 
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