ジョジョやキン肉マンの矛盾を楽しめるかどうかは読む側の問題なのです。

ジョジョやキン肉マンの矛盾を楽しめるかどうかは読む側の問題なのです。

漫画の矛盾は個性です。

■漫画の矛盾は「=面白くない」では無いのに多くは受け入れられてない?

ジョジョの奇妙な冒険の「凄み」とキン肉マンの「ゆで理論」は漫画における演出の楽しみ方の一つです。有名なのはジョジョでのアナスイの性別変更やキン肉マンでのロビンスペシャルにおける落下速度の解説や悪魔将軍にスピン・ダブルアームをかけられているジェロニモをリング外から同じジェロニモが見ているなんて演出ですが、これらの作品だから許されている気がします。

最近では漫画では演出よりもリアルさばかり求められている様ですね。

これだとしっかりとした知識のない場合、日常ものと異世界ものばかりにジャンルが偏ってしまうのも仕方ありません。そもそも、日常や異世界ものが本当に描きたいのであれば別ですが、実際には空想の物語を描いていくのであれば設定とそれを演出するエンターテインメント性の力量が作家に求められるのでしょう。

それが出来ていないと「どこかで見た」二番煎じの作品になってしまい世界観は表現できません。これらに成功している後発の作品一例としては「彼岸島(2002年~)」、「テニスの王子様(1999年~)」といったところでしょうか?

漫画なんて多少は矛盾していても「ジョジョ」や「キン肉マン」の様に勢いや演出で楽しませるジャンルもあれば、「よつばと!」や「3月のライオン」、「銀の匙」の様にちょっとご都合主義のリアル路線を楽しませる作品もあって良いのです。まぁ、リアル路線も別の大変さがあるのでしょうが。

そもそもリアルとは作品のどこまで考えなければいけないのでしょうか?

少なくとも1980年代に「リアルではないから」という理由で打ち切られた作品を僕は知りません。むしろ、映画と同じように見ている側に考えさせる「含み」を持たせた演出が多かった気がします。

聖闘士星矢で知られる車田正美の「リングにかけろ(1977年~)」は少年ジャンプで看板になった作品ですが、団体戦になってからの必殺ブローはネーミングが違うだけの格好いい1枚絵ばかり、章ごとに主人公達は死んで生き返るの繰り返しでした。それでも作品は熱かったと言います。

また、デスノートのアイデアの元になったとも言われている「ウイングマン」のドリムノートでは何でも書いた願いが叶うという設定ですが、ドリムノートを使って三次元人を殺そうとした敵の願いは叶わずにノートから文字が消えていました。(後に書いた本人が本当に願っていないと実現しないという演出へと変わっていきます。)

この様に作品にはその場の勢いで見せるものと「作品の幅を広げるため」に曖昧にしておく表現が必要なようです。しかし、近年では作品の展開は「障害がない(少ない)」、「テンポが速い」ものが好まれている為、勢いで描いておいて引っ掛かりがあれば後から「伏線」として回収した方が作品としての失敗は少なさそうです。

ただ、個人的には考えて準備された演出の方が失敗はしても大作になる可能性は高いと考えてます。

■現在では、漫画を読む側の視点や目的も違ってきている

例えば「ゾンビ映画」はリアルと演出のバランスが求められるエンターテイメントです。

そもそもゾンビの出現そのものがリアルではありません。しかし、最近では呪いやウイルスと言ったゾンビが出現した現象の「理由付け」が求められている様です。ただ、作品の全てにリアルを求められているかと言うとそうでもないように思います。ゾンビは歩くのか、走るのか、人を襲う理由は、視覚はあるか、聴覚はあるのかはそれぞれの作品で説明が出てきますが、新陳代謝と消化器官については曖昧にされています。

まぁ、この辺をはっきりさせると「人間に戻れる」、「冬を越せる」にまで矛盾が広がり映画そのものが楽しめなくなるのでしょう。ゾンビ映画にスッキリとした結末が無いというのもよく分かります。

リアルであろうと矛盾であろうと楽しませるという思いが制作側には大切なのでしょう。しかし、ネットの普及に伴い見る側に「話題探しの層」が増えてくると漫画での目立つ演出は「粗探し」されていく事になります。個人的には2000年前後の作品を境にブログからSNSへと発信の場を変えながら話題にされてきた様に感じます。

「ジョジョの奇妙な冒険」では副題が連載時と現在では違っていたり、スタンド名が「スターシルバー」や「ハイエロファント・エメラルド」と表記されていたり、キン肉マンで「悪魔将軍」や完璧著人の「ガンマン」で初登場のデザインが違っていたり、漫画での路線変更や忘れられた設定は面白いと僕は思うんですけどね。

他にも「ジョジョ」の凄みと「キン肉マン」のゆで理論に関係ない矛盾にはこんなものもあります。

・ジョジョの奇妙な冒険の主人公「ジョナサン」は連載予告では二重人格と紹介されていた

もう連載開始時から矛盾していたというのが伝説です。構想が固まるのが広告の締め切りに間に合わなかったという大人の事情も感じさせますが、知った時に衝撃的だったただけに記憶に強く残ってます。

・キン肉マンでロビン家の家宝「アノアロの杖」を盗むキン肉マン・マリポーサのエピソード

ロビンマスクが6歳の時に持ち出した家宝を盗まれた事になっていますが、マリポーサってキン肉マンと同じ歳なのでロビンマスクよりも6歳年下なんですよね。他の矛盾が多過ぎて話題になっていませんが、いくら超人でも0歳で盗みは無理だと思います。

さて、漫画で矛盾を感じた時に皆さんは楽しめますか?

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